賭博場にガサに入った場合、ガサ入れと知った瞬間に、
店側が証拠隠滅のためブレーカーを落とすことだ。
店の中は真っ暗である。
これで大混乱にならないほうがおかしい。
刑事「おい、あんた、鑑識か？」
鑑識風の男「いや、あの、ハイ・・・」
刑事「こら、ブンヤ（記者）は出て行け、だめだ入ってきちゃ！」
刑事「こら、逃げるなよ」
刑事「おい、はなせ、ちがうよ、俺だよ！」
刑事「ブレーカー落としたの誰だ！上げろ！」
現場指揮官「一人逃げたぞ！そいつ、捕まえろ！」
入口の刑事「こら、勝手に出るんじゃねえ！」
新人刑事「あ、スミマセン、私、署員です。サツカンです」
警察官だって逮捕されかねない。
ようやく灯りがつく。
現場指揮官「ちがう、そっちだ、そっち！その男だ！」
入口の刑事「ちょっと待て、お宅どちらの方？中国？」
謎の男「ワダシ、ニホンのカタ。ニポンジンです」
刑事「モロ中国じゃねえか！戻れ！」
大混乱の中で、まずは店の客と店員を把握しなければならない。
係長「客と店員を並ばせろ！」
私「来来、来这里！排阝人、排阝人！（こっちだ、こっちに来て、並んで並んで！）」
刑事「バカ野郎！中国人はあっちに並べ！」
私「私は通訳ですよ！サツカンです！」
通訳捜査官だって誤認逮捕されんかねない。
ーー中略ーー
私が北京語を話すことを知ると、たくさんの中国人女性が群がってくる。
中国人女性１「あんた、中国人なら見逃してよ！」
私「俺は警察だよ！おい、抱きつくな！」
中国人女性２「アイヨ～！ワタシ騙されてニホンに来たの人！かわいそうの人だよ～！」
中には刑事さんに聞こえるよう、日本語で訴えるものもいる。
男性客「ワダシ、シャキンいぱいある！捕またらこやて死ぬよ～！いい？いい？」
私「安心しろ、俺たちは入管じゃないから！警察だよ」
中国人女性３「警察うそ！何でヤクザの人、入っている！あの人！」
私「ヤクザじゃない、あれは署の係長だ」
中国人女性４「ちがうダヨ！歌舞伎町で見たから間違いないよ！あれ、ヤクザの人！
イヤ！アブナイ！」
中国人女性５「ワダシ～、ダンナいるよ、逮捕するはダメよ！人権あるよ！」
係長「ダンナの住所は？」
中国人女性５「住所、わがらない。電話、ここ」
女性刑事「てめえ、住所も知らないって、偽装婚だろうが！調子こいてんじゃねえよ！」
係長「おい、やめろ！やめるんだ！誰かこいつを止めろ！」
通訳捜査官 中国人犯罪者との闘い２９２０日 坂東忠信より
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バカラ賭博のガサ入れ
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