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新・機械技術史 日本機械学会編

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世界の機械技術の歴史
古代から続くが、産業革命以前はあまり読むところはなかった。


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産業革命は農業革命が端緒となり、社会のありようが大きく変化した時期をいう。
イギリスの教科書では、通常、1760年代~1830年ころまでを指す。
ーー中略ーー
産業革命はイギリスからフランス、ドイツ、またアメリカ、ロシア、日本へと伝播していった。
フランスでは1830年代に進展して中産階級や労働階級の発言力が増し、
1848年の2月革命をもたらして王制が廃止された。
ドイツではフランスより遅れて1850年代に進展し、1871年にドイツ帝国が形成された。
ドイツは不況時を保護主義で乗り切り、19世紀末には輸出を増大し重化学工業を進展させて、
企業と企業、金融と企業の結びつきを強めていった。
アメリカでは1830年代から発展し、北部連邦の工業化は
南部の奴隷制綿花プランテーション10州との軋轢を生み出し、
1861年の南北戦争へと発展した。
ロシアでは1860年台から徐々に進行し、1890年代に国家による保護、
またフランス資本の導入を経て重工業を急速に進展させた。
そして20世紀に入り、ついにロシア革命の発端となる。
こうして産業革命は、文字通り幾多の革命を各国に引き起こし、
産業と経済そして社会体制の変革に直接関係していったのである。

日本には1890年代に伝わり、日清戦争(1894~1895)の前後の時代に、
イギリスと同様、製糸・紡績などの繊維産業で本格化した。
続いて、日露戦争(1904~1905)前後の時代に、軍需産業との関わりを一段と強くし、
兵器・戦艦などを中心とする重工業化が促進された。

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広大な農地を耕して収穫を上げていく広域農業には、
当初から独特の大型機械のりようが考えられた。
初期段階には馬の多連引きによる農耕器が考えられ、次いで蒸気機関が現れると、
それが農業用に適用されて農用蒸気動力機械が考えだされた。

しかし、これは動力源の重量が重く、農耕地への面圧の関係から
大型の車輪へと移って機械が巨大化していった。
こんにちへと続く大型機械による大型農業のシステムである。

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鉄道省制式蒸気機関車の中で最多両数を誇るのは
D51形二ー八ー二テンダ式貨物用蒸気機関車であり、
1926年から1115両が量産された。
この蒸気機関車は、素材をはじめ使用部品の全てにわたって国産品が使われた記念すべき車両である。
設計担当は島安二郎の長男、島秀雄であった。
彼は、後に高速鉄道電化の技術を開拓していく。

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世界初のアルミ・エンジン「栄」

例えば「零式艦上戦闘機(零戦)の製造では、当時の常識を破り、
中島飛行機が開発した世界初のアルミ合金による軽量・低燃費の空冷式エンジン(栄11型)を実用化して搭載した。
このアルミ・エンジン技術はアメリカを驚かせ、また、
戦後にスポーツカー「ホンダN360」のエンジンへと転用された。





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