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宇宙を開く産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol1

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宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)/日経BP出版センター
¥1,000
Amazon.co.jp

前に筑波宇宙センターに行った時に買った本

H2Bロケットを開発するにあたっての宇宙産業のメーカーの技術者の体験記が書かれていました。

<三菱重工業 西岡喬相談役>
国産初のプロペラ機「YS-11」の開発から半世紀、当社は再び国産のジェット旅客機
「三菱・リージョナル・ジェット(MRJ)」の開発に着手しました。
MRJ開発に手を挙げたのは、50年先、100年先の日本に航空機技術を残す
という使命感からです。
YS-11から50年間、私どもはなんとか技術を絶やさないために、
ボーイング機の胴体や主翼などの製造も請け負ってきました。
しかし、一部を製造するだけでは真の技術伝承はできません。
事実、MRJの開発は、50年の空白を埋めなければならない難しさの中で進めて来ました。

航空機製造には、製造業の中でも最先端技術が必要です。
携わる企業は、航空機開発で技術力を磨き、
そのスキルを自動車などの量産可能な産業に活用することで
技術を革新し、利益を生み出しています。
その状況は、宇宙産業でも全く変わりません。

技術は、人に宿ります。
図面やマニュアルでは残せません。
高度なノウハウは経験に基づいた技術者の感覚にあり、
日本のものづくりの強みもそこにあります。

けれども、航空宇宙は開発期間が何十年と長いため、図面作成から官制までの間に
技術者が世代交代してしまう。
そうすると何が起こるか。
例えば製造過程でできた傷が、図面上では許容範囲であっても、
設計当時の担当者の感覚では見過ごせないといったズレが生じてきます。

だからこそ航空宇宙産業では、OJTによる後進の育成が何よりも重要です。
ときにはリタイアした設計当時の担当者に実物を見てもらい、
問題点を指摘してもらうことも必要でしょう。

こうしたOJTができるのは、開発が続いているからこそ。
同じ物を製造しているだけでは、技術は継承されません。

宇宙産業は、日本の技術の将来を担うもの。
国民を感動させるシンボル的存在でもあります。
そんな宇宙の技術を伝承することの意義は計り知れません。




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