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世界が愛した日本 四條たか子

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この本では、トルコのエルトゥールル号遭難事故、台湾の八田與一のような
日本と海外の心温まる話を紹介している。

============

1923年、関東大震災が起こった。

経済大国であるアメリカ、イギリスからは莫大な援助金も送られてきた。
しかし、日本中を一番驚かせたのは、地震発生からわずか11日後に10万フランもの電報為替を送ってきてくれたのがベルギーだったことである。
ベルギーからの送金は以後も継続的に行われ、最終的には264万フラン(約35万円)となった。
これは、アメリカの2000万円、イギリスの400万円に次ぐ金額である。

送り主のベルギーは面積で日本の12分の1足らず。
しかも直前の第一次世界大戦でドイツに占領され、
ようやく独立を回復したばかりという国家状況を考えると、
それは我が身を顧みない破格の支援と言っていい。
じつは、その背景には両国の心暖まる交流の歴史が合ったのである。

ーー中略ーー

1914年6月28日、オーストリア皇太子暗殺に端を発した第一次世界大戦は、
ドイツのロシアに対する宣戦布告、フランスとの交戦開始、
ドイツ軍のベルギー領への侵入、イギリスの参戦と、その戦火を拡大させ続けた。
(中略)
この間、ベルギーはフランスを攻めるために領内に侵入してきたドイツ軍にその国土を蹂躙されていた。
永世中立を標榜するベルギーは、その無法に対し勇敢に立ち上がったが、
軍事力で圧倒的有意を誇るドイツ軍の前に為す術もなかった。
東部のリエージュが、次いで首都のブリュッセルが占領され、
当時の国王・アルベール一世はフランスのル・アーブルに亡命し、多数の難民が発生した。

ベルギーの悲惨な状況は連日報道された。
多くの人が理を持って戦い続けるベルギー国民に心を打たれ、
彼らを激励するために支援活動を始めた。
特に東京・大阪朝日新聞社(現・朝日新聞)は日本人のそんな魂を届けようと、
ベルギー国王に日本刀を献上することにした。


ーー中略ーー

1923年(関東大震災が起きた年)
ベルギー国内で配布された日本への支援を訴えたメッセージ「元兵士へ」は
多くのベルギー人の胸を打ち、そして動かした。

我が勇敢なる戦士たちは、日本人によって兵士たちに送られ、
日本郵船会社によってル・アーブルまで無料で運ばれてきたタバコや茶、鉛筆、薬品などへの感謝の思いを忘れていないはずだ。

その贈り物には心のこもった言葉が添えられていた
私たちは戦争が始まってからベルギー軍が示した3つの優れた徳、
すなわち忠誠・勇敢・名誉を示す「忠勇義烈」という名のこの小さな鉛筆をお送りすることを幸せに思います。」






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