![]() 資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言 集英社文庫 / 中谷巌 【文庫】 |
著者は元々新自由主義者の人で、小泉政権下まで数々の構造改革を提唱していた人
それがリーマン・ショックを経ていきなりグローバリズムを否定したのだそうです。
その偏向の理由や、グローバリズムの問題を語っているが、
読んでいて内容がかなり薄っぺらいように思えた
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驚くべきことに、この数十年の間に、所得上位1%の富裕層の所得合計が
アメリカ全体の所得に占めるシェアは8%からなんと倍以上の17%台に急上昇した。
これに伴って、アメリカ人の「平均所得」は毎年2%以上もあがった。
これだけを見れば、たしかにアメリカは豊かになったはずだ。
だが、それはあくまでも平均値の話であり、
最も所得の高い人から最も貧しい人を一列に並べた場合、
ちょうど列の真ん中にいる人達、すなわち「中位の人の所得」はほとんど上がらなかった。
これは、アメリカの富裕層が富のどれくらいを占めているかを時の経過と共に表すグラフ
こちらは、主要先進国の貧困率を1985年と2005年で比較したもの
再配分後とは、補助金、健康保険、生活保護などで
高所得者から低所得者へ富の再分配を行った後ということ
日本において20年で貧困率が非常に拡大していることがわかる。
しかも再配分の影響が他のヨーロッパ諸国よりかなり小さいことがわかる
ただ、日本のジニ係数が大きくなっている、つまり、
統計的に見れば格差が拡大しているという事実に対して、
それをどのように解釈するかについては、経済学者の中でも意見が一致しているわけではない。
たとえば、「日本の不平等」の著者、大阪大学の大竹文雄教授の分析によれば、
現在の日本で所得格差が増大しているのは事実ではあるが、その主因はいわゆる
「団塊の世代」と呼ばれる人たちが大量に定年を迎えたことにあるという。
つまり定年退職者たちの大量出現が、日本社会の所得分布に一時的なアンバランスをもたらしているのであって、
急速な格差拡大は「見せかけ」のものにすぎないというわけである。
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お世辞を言うわけではないが、本書の読者の多くは本書を買うだけの金銭的ゆとりがあり、
また、毎日の仕事が忙しいとしても
「これからの日本、世界のことを考えたい」
という心のゆとりや時間のゆとりもある。
そんな実感はないかもしれないが、あなたは日本社会の中では恵まれた部類に入る人なのだ。
ーー中略ーー
だから、この本の読者の皆さんが、
「日本は世界の先進国の中でも、トップクラスの貧困率の国である」と言われても、
実感が無いのは当然なのである。
ひょっとしたら、あなたはニュースで貧しい若者たちを見て、
「なぜ働こうとしないのか」と訝しく思った記憶がおありかもしれない。
だが、今の日本はそんな生易しい状況ではない。