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なぜ新左翼は無差別殺戮に走ったか

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小室直樹「 日本国民に告ぐ」より

大学紛争の末に誕生したのがいわゆる新左翼である。
新左翼がやったのは、無差別の殺し合いだ。
論理的に考えれば、革マル派と中核派が同盟して、日本共産党と戦う。
あるいは、共産党とさえ同盟して自民党政府と戦うのが目的を達成する合理的な戦略である。
しかし、それはいっさいやらない。
似たもの同士で戦っている。

向こうが何人殺したらから、こっちも殺す。
単純な復讐の論理。
さらには、だれでもいいから殺せということになる。
機動隊を何人も”殲滅”したと自慢する。

これは、右翼が絶対にやらないことだ。
中野正剛が言うように、警官だって日本国民だ。
殺すなら政治家や大資本家でなければ意味が無い。

もう一つ。
新左翼は、やたらに誤爆をした。
関係ない人を間違って殺す。
右翼は絶対これはやらない。
革マル、中核、連合赤軍ほどアノミーの症状を明確に表しているものはない。
カルト教団と酷似している。

無差別殺戮でいちばん典型的に表れているのは、「狼グループ」。
間組や三菱重工のビルを爆破した。
帝国主義侵略がそんなにけしからんというなら、重役を殺すべきだ。
ところが、関係のない通行人まで巻き添えにした。
ビルの玄関に爆弾を仕掛けても重役や社長が死ぬわけがない。
関係のない通行人が死ぬに決まっている。
それをやった。

しかもやった人間は、実は真面目な学生だったり、ふつうのサラリーマンだった。
当時も、あんな真面目な人がなぜ、と人々は驚いたが、
これが新左翼の行き着く終着駅である。
カルト教団の原型がそこにあった。


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