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公務員に日本版上級管理職制度の導入を

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日本版SES(上級管理職制度)は、次官級、局長・審議級、課長級の三つのグレードからなる。
ただし、こうした制度を作るためには条件がある。

第一に、中立性・専門性を担う公務員と政治性・応答性を担う公務員を峻別することである。
国によってどのレベルの公務員を政治任用するかは異なっているが、
各国に共通する点は、資格任用の一般公務員と政治任用の公務員を区別していることである。
政官関係が曖昧で独立任用となっている日本では、まず両者を区別することが第一に重要である。

第二に、職務・役割の定義と人事評価である。
能力・業績主義を貫くためには、幹部ポスト一つ一つの職務・役割、
そして業績の達成度の評価指標などを提議する必要がある。
霞ヶ関で人材が流動化しない大きな原因は、局長や課長が何をしているか外部からはよくわからないことである。
特に、今後公募を増やすのであれば、職務の定義が不可欠である。
そして、あらかじめ定めた任務・役割の目標に達する達成度、業績の評価を毎年行う。
原則として、幹部職は三年間同じポストに就き、その業績を総合評価する。


第三に、透明かつ競争的な任命プロセスである。
そのポイントは、任命にあたり、
能力・業績をチェックする公平・中立な審査基準と選考委員会による審査プロセスをつくることと、
それを踏まえて任命権者が最終的に判断し決定すること
である。
適材適所を徹底するため、内外公募及び政府内公募の二つを行う。

第四に、内閣一元管理である。
省庁割拠主義を是正するための一元的な人事管理とは、
人事情報の収集・蓄積と任免への関与・助言である。
一元管理の核心は、内閣官房や内閣府で国全体の見地から仕事をして業績を上げたものを省庁の次官や局長へ登用することである。
これが出世の条件となれば、省益を守ろうとする公務員は淘汰される。
これまでの入省年次と年功序列による人事管理モデルから
専門性に基づく業績と中心省庁での経験によるモデルへの転換である。
要するに、公務員に適切なインセンティブを与えることだ。

第五に、公務員の役割に応じた行動規範・ガイドラインの作成である。
一般職公務員と政治任用者それぞれの行動規範や具体的行動・行為を想定したガイドラインを作成し、前者の政治的行為を規制するとともに、後者の責任や権限を明確にする。

田中秀明 「日本の財政」 より


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