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実録 神戸芸能社 山平重樹

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神戸芸能社とは、かつて存在した山口組の芸能事務所

山口組三代目田岡一雄さんと美空ひばりさんの馴れ初めから、
この神戸芸能社が解散するまでを描いている。

この本を読むと、どの芸能事務所も暴力団と関係があるのだろう、と思わざるをえなかった。
(いい、悪いは別にして)

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昭和33年6月、新芸プロを出たひばりは新たに「ひばりプロ」を設立、
会長に田岡一雄、社長に美空ひばり、副社長に加藤喜美枝、
取締役に神戸芸能社の山沖一雄が座った。
これで神戸芸能社は女王・ひばりの興行権を独占することになったのだった

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山口組の全国進攻の尖兵として地道組、菅谷組、小西一家、柳川組などの武闘派組織が競うようにして地方へ進出していったのだが、その際、柳川組が相手組織に対して、
「通れるだけの道をあけてください。でないと、大きな岩を動かしますよ」
と言ったというのは、あまりに有名である。
この場合の「大きな岩」とは、柳川組、ひいては山口組の底知れぬ戦闘力を指したのはいうまでもない。

いわば地方組織進攻にあたってのムチであるが、もうひとつ、アメを用意するのも忘れなかった。

それが神戸芸能社の興業の仕事ということになり、地方組織にすれば、
「興業を打ちませんか。うちなら大概のトップスターや、プロレスの力道山でも用意できますよ。」
と持ち掛けられれば、儲かるのは間違いない興業なのだから垂涎ものであり、断る手はない。
いっそ山口組の傘下になってしまえば、神戸芸能社系の芸能社も設立でき、恒常的に大規模な興行を打つことも可能だし、経済的基盤(シノギ)も確立できるのだ。

これは大きな魅力、好餌だった。

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組関係の手による興業を潰すにはどうすればいいか。
公共施設からの締め出しが最も効果的である、とは、警察当局ならずとも誰にでもわかる理屈である。
そのことに真っ先に着目し、実行に移したのは、山口組のお膝元にある兵庫県警だった。
ーー中略ーー
昭和40年2月24日、衆議院予算委員会第一分科会(内閣・法務・文教)において、
社会等の議員は、組と興業の問題を取り上げ、
「興業と組織暴力団との結びつきは警察だけで断ち切ることは難しい。
政府が使用禁止の方針を決め、地方の条例などと連携して、国や地方自治体の造営物から暴力団を締め出す方針を打ち出すべきではないか」
と質問した。
これに対し、法務事務次官は、
「国の造営物の使用はあまりないが、地方自治体のものについても、時間会議や閣議に持ちだして、全国的に禁止措置を取れるよう考慮する」
と答えた。
ーー中略ーー
かくて、公共施設からの組関係者の排除は、国によってお墨付きを与えられたも同然となったのである。

ここまで
芸能人のコンサートが民間施設ばっかなのはこうした背景があったからだろうか。
公共施設でやることのほうがかなり稀になったので、むしろ、公共施設の講演=しょぼい、という印象があったが、むしろこっちのほうが安心できそうですね。


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