カリフォルニア大学のブルース・エイムス教授が、物質が最近に癌を起こすかどうか見る簡単な方法(エイムス・テスト)を編み出す。
まず合成農薬を試した所、発がん性物質が続々と見つかった。
ネズミでも、大量投与した合成農薬のほぼ半数が発がん性と判明。
それに浮足立ったEPA(米国環境保護庁)が、厳しい残留農薬基準を作る。
70歳まで生きた100万人のうち、癌死が(計算上)1名だけ増える量だった。
すかさず農業省は食品7328品目を調べ、EPA基準オーバーの食品が1.5%あったと警告。
「違反」がひどいのはりんごとセロリ、モモだった。
こうした報告に怯えた人たちが「自然食品」に走ったのだ。
だがやがてエイムス先生は、食品の天然成分にも発がん性があると確かめ、
「野菜・果物はほぼ全部が発がん物質を含む」と報告。
実験動物に与えた天然物64種のうち35種までが発がん性で、
コーヒーの成分26種のうち19種もそうだった。
そんな天然物を米国人は日に1.5gほど(合成農薬の1万倍以上!)とる。
パセリ、オレガノ、セージ、タイムなど、調べた43種類のハーブも、
ネズミにガンを生む天然物を10ppm以上(ppm=百万分の1)含んでいた。
そういう天然毒素は有機栽培作物の体内に多く、何世代も有機栽培を続けると更に増える。
植物たちは、天然の殺虫剤を増やして害虫に立ち向かうのだ。
品種改良とは、野生の植物の毒素を減らす営みだったといってよい
(ついでにいうと、加熱調理する目的の一つは、天然毒素の一部を分解すること)。
あぶない天然毒素のことを気にかけず、実害の殆ど無い合成農薬に怯える
(ばかりか、対策に膨大なお金と人手をつぎ込む)のは、どうみてもおかしい。
「天然モノは安全なのか?」 James P. Collman
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合成農薬を嫌がる風潮の発生
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