神戸はいまから19年前に阪神淡路大震災があって、6千434人が殺されました。
そのときの総理、村山富市総理は被災地を突っ立って歩かれ、それを見た神戸市民は怒りに震えました。
いまは東京都民の僕のところにも、親戚や友達から
「お前は政治記者(当時)だそうだけれども、村山総理に言ってくれ。
人を見下して急ぎ足で歩いていったい何様のつもりなんだ。
こんなんじゃ復興も手につかないと」と言われました。
みんな怒り狂ったんです。
しかし天皇皇后両陛下が神戸に来られたときは、すでに陛下は両膝がお悪く、痛みがおありでした。
皇后陛下の首の痛みもとっくに始まってらっしゃった。
公表してなかっただけです。
それなのに、お膝を曲げて屈まれて、被災者と目を合わせてくださった。
どれほど被災者が救われたでしょうか。
それは東日本大震災でも同じことが起きました。
また菅さんの話で菅さんには申し訳ないのですが、菅さんが東北をまわったとき、
あの穏やかな東北の方がテレビカメラの回っている前で思わず
「総理、そんなに急いでどこへ行きますか。それで私たちの暮らしがわかるんですか」
と怒りに耐えかねておっしゃいました。
ところが天皇皇后両陛下が、今度は膝のお痛みも首のお痛みも各しようがないぐらい悪化されてらっしゃるのに、またこうやって屈んで、被災者と目を合わせてくださった。
「死ぬ理由、生きる理由」 青山繁晴 より
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震災と天皇皇后両陛下
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