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大東亜戦争の真実 東条英機宣誓供述書

東条英機の東京裁判における供述書が収められている。
個人的に驚いたのは、まず本一冊に収められるほどの分量の供述書に対して

中身に対しては他の本でもよく引用されているので、まとめてみるにはいいと思います。

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元来この種の御前会議は政府と統帥部との調整を図ることを目的としておるのであります。
日本の制度においては、政府と統帥部は全然分立しておりますから、かくのごとき調整方策が必要となってくるのであります。
この会議にはあらかじめ議長というものもありません。
その都度陛下の御許しを得て首相が議事を主催するを例といたします。
この会議で決定したことは、その国務に関する限りは更にこれを閣議にかけて最後の決定をします。
また統帥に関することは統帥部に持ち帰り、必要なる手続きをとるのであります。
かくのごとくして後、政府並びに統帥部は別々に天皇陛下の御允栽をこうのであります。
したがって憲法上の責任の所在は国務に関することは内閣、統帥に関することは統帥部が各々別々に責任を負いその実行に当たるのであります。
また幹事として局長なり書記官長が出席しますが、これは責任者でありません。
御前会議、連絡会議の性質および内容は右のごとくでありまして政府および統帥部の任務遂行上必要なる当然の会議であり検事側の観測しあるがごとき共同謀議の機関と見るは侮言であります。

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次にジュネーブ条約に関し一言いたします。
日本はジュネーブ条約を批准いたしませんでした。
なおまた、事実において日本人の俘虜に対する観念は欧米人のそれと異なっております。

なお衣食住その他風俗習慣を著しく異にする関係と今次戦役においては各種民族を含む広大なる地域に多数の俘虜を得たることと各種の物資不足と相待ちまして、
ジュネーブ条約をそのまま適用することは我が国としては不可能でありました。

日本における俘虜に関する観念と欧米のそれとが異なるというのは次のようなことであります。
日本においては古来俘虜となるということを大なる恥辱と考え戦闘員は俘虜となるよりはむしろ死を選べと教えられてきたのであります。
これがためジュネーブ条約を批准することは俘虜となることを奨励するごとき誤解を生じ上記の伝統と矛盾するがあると考えられました。
そうしてこの理由は今次戦争の開始に当たっても解消いたしておりません。
ジュネーブ条約に関する件は外務省よりの照会に対し、陸軍省は該条約の遵守を声明し得ざるも俘虜待遇上これに準じ措置することに異存なき旨回答しました。

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終わりに臨み、おそらくこれが当法廷の規則の上において許さるる最後の機会でありましょうが、私はここに重ねて申し上げます。
日本帝国の国策ないしは当年合法にその地位にあった官吏の採った方針は、
侵略でもなく、搾取でもありませんでした。
一歩は一歩より進み、また適法に選ばれた各内閣はそれぞれ相承けて、
憲法および法律に定められた手続きに従いこれを処理していきましたが、
ついに我が国は彼の冷厳なる現実に逢着したのであります。
当年国家の運命を商量較計するのが責任を負荷したわれわれとしては、
国家自衛のために起こつという事がただ一つ残された途でありました。
われわれは国家の運命を賭しました。
しかして敗れました。
しかして眼前にみるがごとき事態を惹起したのであります。

戦争が国際法上より見て正しき戦争であったか否かの問題と、敗戦の責任いかんとの問題とは、明白に分別のできる二つの異なった問題であります。
第一の問題は外国との問題でありかつ法律的性質の問題であります。
私は最後までこの戦争は自衛線であり、現時承認せられたる国際法には違反せぬ戦争なりと主張します。
私はいまだかつて我が国が本戦争をなしたことを以て国際犯罪なりとして勝者より訴追せられ、
また敗戦国の適法なる官吏たりし者が個人的の国際法上の犯人なり、また条約の違反者なりとして糾弾せられるとは考えたこととてはありませぬ。

第二の問題、すなわち敗戦の責任については当時の総理大臣たりし私の責任であります。
この意味における責任は私はこれを受諾するのみならず真心より進んでこれを負荷せんことを希望するものであります。



大東亜戦争の真実―東条英機宣誓供述書/ワック
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