十字軍物語２＋３　塩野七生

十字軍物語第２巻と第３巻
第２巻は、今度はイスラム教側がエルサレルムを奪還するまで
第３巻は、その後＋イギリスとフランスの戦いも

十字軍の騎士団には２つに分かれていて、
１つはテンプル騎士団、異教徒抹殺を会則にかかげている。
もう一つは聖ヨハネ騎士団、こちらは医療を柱にした巡礼保護を第１にしている。

これまでよく映画や小説でテンプル騎士団とか出てきて神秘的な印象を持っていたが、
そんなイメージはなくなり、
ただの就職先のない貧しい貴族（たとえば次男とか三男とか）がエルサレム周辺でのキリスト教徒を盗賊などから守るために何でもやる過激派集団だったことを知った。

聖ヨハネ騎士団は元々は聖ヨハネ医療修道会からでている。
エルサレムが十字軍に解放される前からこの聖ヨハネ医療修道会はエルサレムに存在していた。
当時のイスラム側が異教徒を差別はしながらも、共存を許していたから
（キリスト教は共存を許さなかった）

十字軍がエルサレム奪還のためにエルサレムを攻めているとき、
イスラム側は聖ヨハネ修道会を、防衛のために動員し、城壁に近寄る・昇ろうとする十字軍兵士に石を投げるよう指示したそうです。
聖ヨハネ医療修道会の会長、ジェラルドは、石をなげずにパンを投げたそうです。
見つかったジェラルド以下、全員は首を切られると決定されたのですが、死刑執行前にエルサレムが解放されたそうです。

１２世紀末頃、イギリスは現在のフランスの西半分も領有していて、フランス王直領地はパリ周辺のぽっちりしたところだけでした。
ときのイギリス王リチャード（獅子心王）とフランス王フィリップはともに第３次十字軍に参加し、軍を率いていく。
お互いに、勝手に帰って戦争しない、という誓いを立ててです。
リチャードは戦がとても上手い人で、フィリップはまともにやっては絶対に勝てない。
彼は適当な理由をつけてフランスに戻り、誓いを破ってイギリス領を攻め、フランスのほとんどの領地をイギリスから奪うことに成功する。
そのことからフランスではフィリップをローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスのフランス風発音にした、「オーギュスト」と呼んでいるそうだ。
個人的には、こういう卑怯者は大嫌いだ！
イギリス人からはフィリップは、軽蔑から始まってありとあらゆる悪評だらけだそうで、当然だと思う。

しかし、フランスは本当にナポレオン以外戦争弱いんだな、と思う。
いったい、ナポレオンはなぜ「例外」に強いんだろう

十字軍物語２/新潮社
Image may be NSFW.
Clik here to view.

￥2,700

Amazon.co.jp

十字軍物語〈3〉/新潮社
Image may be NSFW.
Clik here to view.

￥3,672

Amazon.co.jp