高橋是清の生涯を描いた作品
とはいっても、日露戦争後はかなりはしょっているので少し残念
どちらかといえば、その後の政治家時代の業績などについて詳しく知りたかった。
当然のことながら少年期にアメリカに行って奴隷になったことなども書かれている。
本は読みやすいです。
日露戦争でユダヤ人のシフに大量の国債を買ってもらうことがきっかけで欧米で大量の戦費をまかなうことができたことは有名。
シフはクーン・ローブ商会の創設者の一人ソロモン・ローブの娘の婿
ソロモン・ローブは戦後リーマンブラザーズに統合され、
84年にアメリカンエキスプレスに買収されている。(現シェアソン・リーマン・アメリカン・エキスプレス)
ただ、この本には書かれていないが、Wikiによれば1993年にプライメリカに売られている。
さらに、このプライメリカはシティグループ傘下の生命保険会社のようで、2010年上場しているようだ。
アメリカンエキスプレスに買収された段階で完全にクーン・ローブという名前が消えているので消滅したと考えていいだろうと思う。
高橋是清が大蔵大臣だったとき、
陸海軍から多額の軍費が請求されたとき、陸海軍大臣を呼んで会合をし、
きちんと日本の全体像を見た上で、国防計画を考えてくれ、と要請した。
ときの陸軍大臣は田中義一、つまり張作霖爆殺事件での対応で昭和天皇の叱責を食らって退陣した方
ときの海軍大臣は加藤友三郎はワシントン条約で軍縮をなしとげた時の総理大臣兼海軍大臣
この会合で、田中は陸軍側の軍備増強をあきらめ、海軍側を先に行うよう進言する、という驚きの発言をしている。
それは、海軍は軍艦があり、耐用年数が限られているため、定期的な補修・新造をしなければならないからだそうだ。
自分の部、つまり陸軍のことを考えず、日本国のことを考えて海軍を優先させた田中義一はすごいと思う。
このような、大蔵大臣・陸海軍大臣が会合を開くというのは過去になかったらしい。
その後はあったのだろうか?
こういう過去の前例にとらわれず積極的に話し合う姿勢は大事だろうと思う。
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