この小説はかなり面白い。
ストーリー自体はシンプルだが、とてもためになる本だ。
題材は、地熱発電
日本は火山国だが、なぜか地熱発電はあまりない。
その理由として
*国立公園が近くにある
*温泉が近くにある
ことにより、近隣や役所から了承が得ないことが多いのに加え、
日本ではあまり行われないポーリングが高くつくことがあるようだ。
そして、原発を推進したことも原因の一つだそうだ。
原発を推進しておいて、地熱の方がクリーンで環境にも優しいでは困るからだろう
エネルギーのベストミックスなどがまかり通っていなければなおさらかもしれない。
===========
利権についてもわかりやすく書かれていた。
「たとえば、地熱の貯留槽探しのために試掘をするんだが、なかなか掘り当てられない。
結局試掘に何年もかかって断念した。
そんな報告書が出たとしよう。
誰しも地熱とはそういうだという思い込みがある。
だから実際には試掘どころか、まともな調査もせずに見つからなかったという報告書を偽造しても、誰も疑わない。
そして、それらに充てられるはずの資金は、関係者のものになる」
「そんなバカな」
「公共事業にはよくある話だ。
本来なら三億あればできるものが、四億も五億もかかったことになっている。
じゃあ残りの二億はどこへ消えたかと言えば、工事を地元に誘致した政治家や官僚の懐だ。
すべての地熱開発がそうだったとは言わない。
だが、実に20年近くの間、毎年150億円から200億円もの補助金の予算をつけてもらい、実用化できたのが十数カ所じゃお笑いぐさだ」
==============
二酸化炭素の排出量は、1キロワットアワーを発電する際に発生する二酸化炭素をグラム数で表示する。
地熱発電の場合15グラムで、
水力(11グラム)に次ぐ二番目の少なさだった。
原発は約1.5倍の22グラム、
石油は約50倍の742グラム、
石炭は975グラムもあった。