著者は、戦前生まれの元外交官
本の内容は、今の私には特に目新しいことのないものだが、幕末から戦後に至るまでの日本の歩みと、それに伴う日本人の意識・欠点を述べている。
ただ、副題の言う「戦後体制脱却への道筋」は特にない・・・
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徳富蘇峰 「大正の青年と帝国の前途」より(仮名遣いを私なりに現代語に)
吾人は敢えて大正青年に向かって、愛国心の押し売りを試みようとするものにあらず。
されど今日の世界は、国を離れて家なく、家を離れて個人なし。
吾人は国家以上に世界あるを知る。
しかも世界統一の大業は、むしろ夢想することはできるが、実現することは出来ない。
いわんや国家を経由せずして、世界に達せんとするは、階段を経ずして、高楼に上らんと欲するの類いたるにおいてをや
現在の社会においては、国家を除外して、人類の有力なる団体なきなり。
国家は即ち吾人の安心立命の地なり。