著者は、元首相の宮沢喜一
GHQ占領時に大蔵省で池田勇人(こちらも元首相)大蔵大臣の秘書官として、
GHQとの折衝を行い、講和条約の締結に尽力していた。
これは、著者から見た本で、とても面白い
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このとき、ダレスが賠償についての第14条の考え方を説明して、
「日本には未だに労働力が余っており、それに遊休設備が相当ある。
これに対して賠償要求国が必要な原材料を持ち込んで、
日本がノン・プロフィット(利益なし)で加工して製品を送り返す、
だいたいこういう構想に立っているので、日本にもエンプロイメント(就労の機会)ができるし、
また彼我の間で物資の交流も起こって将来貿易を盛んにするきっかけになると思う」
という意味の説明をした。
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1951年9月5日、ダレスによるアメリカを代表とした条約案の精神及び逐条説明に基づいた著者の考え
第1に、ポツダム宣言以外の連合国間だけの取り決め、たとえば、ヤルタ協定のようなものは、
日本をも、また当事国以外の連合国をも拘束しない、ということを米国政府の立場として明言している。
したがって、もし日ソ交渉において、ソ連がヤルタ協定を引用して日本に迫っても、
アメリカのこれについての解釈は、ヤルタ協定で日本を縛ろうとするのはむりだ、ということに当時から決定されていたことになる。
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