この本は、オリジナルが昭和25年に発刊された本で、
当時ベストセラーになった本
イギリス・フランス・ドイツがどうものを考えるかについて考察後、
翻って日本人はどう考えているのかについて書かれている。
ただ、英仏独と比べると決まったものではないようです。
イギリス人は歩きながら考える.フランス人は考えた後で走り出す.スペイン人は走ってしまった後で考える
こういうジョークがあるようで、この文章から始まるこの本は名著と呼んでいい
特にイギリス人の考え方にはなるほど、と考えさせられた。
イギリス人は歩きながら考えるわけだから、集中して考えることはできないが、
四六時中考えるわけで、みんなが集まればその考えを共有し、「妥協」(これはいい意味で)したものがコモンセンス、(日本訳で言えば常識、だが、本の内容的に言えば、民意に近い)
となる。
みんな、が国民全体に広がってくればそれはまさしく国民の民意となるのだろう。
こうした形で決まっていくので、イギリスの民主主義を表しているといってよい。
イギリスの政党には、アメリカや他の国のように政党にこれ、といった確固たる方針があるわけではなく、自民党などのように党内にリベラルから保守までを含めているようだ。
逆にフランスだと、妥協しないので政党が乱立している状態
本を読んでいて思ったのだが、日本はイギリスに近いところがあるし、フランスよりはイギリスの方を目指すべきなのだろうか、と思った。
日本は満場一致を好ましく思う風土であり、
憲法十七条に「和を以て貴しとなす」とあるわけだ。
日本人は「妥協」という言葉にマイナスな印象、つまり「敗北」のようなことを思いがちである。
しかし国民がすべて考え方が同じでない以上、コンセンサスを取る以上、どこかである程度の譲歩が必要だ。
どっちがどれだけ譲歩するのか、というのは国会で言えば多数決、つまり数の少ない側がより譲歩するのは当然だろうと思う。
それがいやなら相手を説得し、自らの側についてもらうように努力する必要があるのだろう。
また逆に多数側も少数側の考えを若干でも取り入れるべく譲歩する(少なくとも努力は見せる)必要がある。
日本ではこの「譲歩」は政治では行われているように思われるが、問題はその結果を「とりえずはよしとする」と受け止める心がないことなのだろう。
議会民主主義を重んじる心がない、ということだ
だから、少数派が大声を上げて叫び続け、
違法行為を行いながら憲法堅持などと叫ぶのだろう。
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